第二章 第一節 使徒行伝概説 4

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⁋第二に・本書は選民に対して宣べらるべき福音が、何故に選民を棄ておいて異邦人に伝えられるようになったかを説明し、以て福音書と書簡とに「神学的歷史的連関」を与えている。即ち異邦人伝道の器なる使徒パウロの第一伝道旅行と第三伝道旅行の終とにおいて、パウロの口から、この説明の言を語らせている。それは

「神の言を先ず汝らに語るべかりしを、汝等これを斥けて己を永遠の生命に相応しからぬ者と自ら定むるによりて、視よ、我ら転じて異邦人に向わん」

といい、また

「宜(うべ)なるかな、聖霊は預言者イザヤによりて汝らの先祖に語り給えり………然れば汝ら知れ、神のこの救は異邦人に遣わされたり、彼らは之に聴くべし」

という言である(十三章 四十六節・二十八章二十五ー二十八節)。
⁋第三に・本書においては、神は聖霊によって人間の無知と迷蒙とを打ち啓(ひら)き給いつつ、これに宣教の業を果たさしめ給うたとせられている。即ちペテロはユダヤ的宗教的偏見の持ち主であった為、異邦人に対する伝道などはその夢想だにしなかった処であるが、この教会の指導者に神は異象(まぼろし)を与え、その偏見を根源的に打ち破り給うた。 それは

「なんじらの知るごとくユダヤ人たる者の、外の国人と交わり、また近ずくことは律法に適わぬ所なり。然れど神は、何人を汚れたるもの、潔からぬ者というまじきことを我に示したまえり」

というペテロの後の告白に明示されている(十章二十八節)。 またパウロとバルナバとの間に起った激しき論争が、反って遂に二人相別れてその宣教の分野を開拓、拡大する契機とせられたものと観ら れている(十五章三十七節以下)。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 4 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 5

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