第一章 第四節 ヨハネ伝概説30

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結  文 (二十一章)3

⁋抑も本書の叙述の目的は、読者が永遠の生命を得るということであり(二十章三十一節)、永遠の生命とは「唯一の真の神及びその遣わし給いしイエス・キリストとを知る」ことにあるといわれた。(十七章三節)。この「知る」という事が真に深まるときは、知る他者なるキリストに由て束縛されて、自己が予想だにせざりし方向へとひきゆかれる。これこそ「献身」である。 ヨハネ伝が力説してきた「知即信即行」の一元性も、この「全き献身」においてこそ初めて具現するのである。それ故、ヨハネ伝の「受肉者を知る」という目的は、この補足せられた結文の「献身」においてこそ初めてその充全な微底をみるといわねばならない。
⁋終に此処で再び本書の「ロゴス・キリストを知る」という知は、永遠の生命に至らしめる知であったことを想起せねばならない。吾人はそれが「上からの契機」と「下からの契機」とにおいて語られてきたのをみた。第十三章以下の受肉者の決別の項では、来るべき聖霊が真理の御霊として語られた。しかして真理の御霊はロゴスの霊であるが故に、万の事を知らしめ、凡て主のものを媒介する主体として示された。このロゴスの受肉者の後継者として来る聖霊こそ、 全く「知る」ということを、人間において可能ならしめる「上からの契機」である。

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