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第 三 受肉者の決別 (十三章ー十七章)3
(1) 洗足による遺訓 (十三章)
⁋この部分は主として、受肉者なる独子と弟子、及び弟子ら相互間の「愛」(アガペ)に就ての遺訓である。主がその弟子の足を洗い給ったことは、二つの事柄を示している。その一は・仮令(たとい)イエスの弟子とせられた者でも、この世に在る限り、その歩みに由てその足が汚されるので、それを主によって洗い聖められるということである。
「すでに浴したる者は足のほか洗うを要せず、全身きよきなり。斯く汝らは潔し」
といわれているのはこの事を示している(十三章十節)。 その二は・この師がその弟子の足を洗い給うたということによって、弟子たちは相互その足を洗い合うということを学ばせられたのである。即ち弟子らは相互にその足の汚れを、指摘し合うのでなく、無言でこれを洗い合うことを、学べというのである。
「われ汝らに模範を示せり、わが為しごとく、汝ら為さん為なり」
という言は (同 十五節)、この事を示した言である。共観福音書が記している「主の祈」中の
「我らに負債ある者を我らの免したる如く、我らの負債をも免し給え」
ということが (マタイ伝六章十二節・ルカ伝平行節)、ヨハネ伝的に教えられているのである。即ちここにはこの師と弟子・弟子と弟子との関係が、更に深められて、「愛」(アガペ)に由るべきもので あることが示されているのである。
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