第一節 ヨハネ黙示録概説 8

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第二 「後成らんとする事」 (四章一節―二十二章七節) 2

(1) 羔羊による全地の審判(四章ー十八章) 1

⁋最初地上で幻を受けたヨハネは

「ここに登れ、我この後おこるべき事を汝に示さん」

といわれ、今や彼は天上に引き上げられ、そこから地上に起る出来事を見せられることになっている(四章一節)。
⁋彼が引き上げられて、天上にて示されることは、先ずその「天的秩序」である(四章)。そこには神の御座 (みくら)が設けられ、その周囲には二十四人の長老が白き衣を纏(まと)わされて坐し、四つの活き物の礼拝に和して

「我らの主なる神よ、栄光と尊貴と能力とを受け給うは宜(うべ)なり。汝は万物を造りたまい、万物は御意によりて存し、かつ造られたり」

と歌っている。
⁋此処でヨハネの眼は神の右の手の巻物に向けられるが、その裏表に文字があり、それは七つの印をもて封じられている(五章)。これが神の聖手より出ずる全地の審判の「順序書」である。そこに大声がひびき

「巻物を開きてその封印を解くに相応(ふさわ)しき者は誰ぞ」

と呼わる御使があった。然るに天にも地にも、地の下にも、巻物を開いてこれを見得る者がなかったという。この御使の声こそは宇宙的歴史の謎を代表する問である。この巻物は前述の如く、世界審判、即ち諸国諸民の運命を秘めた封書であるからである。茲(ここ)に全くその時その瞬間まで孤立し、絶対的に無縁の如く考えもし、考えられていた地上の諸権威の運命が、実は、神の前に立つ「屠られたるが如き羔羊」なるキリストと絶対に避けられぬように結びつけられている事実が指示されている。「すでに勝を得て巻物とその七つの封印とを開き得る」者は、神の御座および四つの活き物との間に立ち給う・屠られたるが如き羔羊だからである「五章五ー六節)。

「なんぢは巻物を受け、その封印を解くに相応しきなり、汝は屠られ、その血をもて諸種の族・国語・民・国の中より人々を神のために買い、之を我らの神のために国民となし、祭司となし給えばなり」

といわれている(五章九節以下)。斯く天の幻は「屠られたるが如き羔羊」即ち贖罪の為に屠られて、然もなお生きて礼拝の対象となっている羔羊キリストを、この神劇の中心的人物として大写しにする。

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第三章 預言書>第一節 ヨハネ黙示録概説 8 終わり、次は第一節 ヨハネ黙示録概説 9

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