第一節 ヨハネ黙示録概説 7

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第二 「後成らんとする事」 (四章一節―二十二章七節) 1

この部分は全体が次の三小区分からなっている。

(1) 羔羊による全地の審判 (四章ー十八章)
(2) 羔羊による千年の王国 (十九章一節ー二十章六節)
(3) 羔羊による教会の完成 (二十章七節―二十二章七節)

⁋この三小区分よりなる部分全体をみると、そこには一つの中心的なる者と、彼を通して神の聖旨が行われる為の媒介とのあることがみられる。その中心的なるものとは「屠(ほふ)られたるが、如き羔羊(こひつじ)」であり、彼は「御座および四つの活物と長老たちとの間に立」 ち給う御方である(五章六節)。この部分の四小区分はこの羔羊の活動を主として分たれている。次に彼の活動に対して媒介となっているものとは、聖数 「七」を以て表わされた、「封印・ラッパ・金鉢」である (六章一節以下・八章六節以下・十六章一節以下)。
⁋この部分の問題は、この僕ヨハネが地上から天上に移されるということが、単に彼がこの黙示を示される一人の僕としてであるか、或は地上の教会を代表する者としてであるかという点である。若し前項の七つの教会が既述せられたように、教会時代の凡ゆる教会を、時空的に且つ類型的に代表するという象徴的意義をもつものとすれば、既に前項においていわゆる教会時代は終った筈である。従ってこのヨハネが天上に移されたという事は、単に黙示を受ける使者としての個人的の問題ではなく、教会時代が終った時における教会を代表する者とみらるべきであろうと思われる。
⁋殊にこの事は、パウロ書簡において極めて明瞭に記されている、「教会携挙」ということに対応している。即ちテサロニケ前書には、

「それ主は、号令と御使の長の声と神のラッパと共に、みずから天より降り給わん。その時キリストにある死人まず甦り、後に生きて存れる我らは彼らと共に雲のうちに取り去られ、 空中にて主を迎え、斯くていつまでも主と借に居るべし」

と記されている(四章十六ー七節)。同様にコリント前書においても

「視よ、われ汝らに奥義を告げん、我らは悉く眠るにはあらず、終のラッパの鳴らん時みな忽ち瞬間に化せん。ラッパ 鳴りて死人は朽ちぬ者に甦えり、我らは化するなり」

と記されている(十五章五十一ー二節)。
⁋このヨハネの天上に移されたことを、上述の如く、教会の携挙と解する時、この部分の一は、天上における光景と地上におけるそれとに分たれて叙述せられることとなる。

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第三章 預言書>第一節 ヨハネ黙示録概説 7 終わり、次は第一節 ヨハネ黙示録概説 8

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