第一節 ヨハネ黙示録概説 9

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第二 「後成らんとする事」 (四章一節―二十二章七節) 3

(1) 羔羊による全地の審判(四章ー十八章) 2

⁋ここで注意すべきは、屠られたるが如き羔羊が、その神劇の中心である如く、その羔羊の立ち給う神の御座(みくら) もこの神劇の中軸をなすという事である。然れば神の御座は、凡ゆる地上的出来事の天的決定の場である。いわば聖書を貫く「所与」(Gabe)と「課題」(Aufgabe) の構造の具体化されたものが黙示録である。天的決定の場なる神の御座は「所与」を象徴し・ 地上の出来事は「課題」を象徴するとみられるからである。この終末的審判の神劇は、即ち地上にある諸民をして、先ず「所与」を象徴する神の御座を仰がしめ、その御座の「所与」からのみ、地上の諸民の「課題」を視させるように仕組まれているのである。
⁋斯くして羔羊によってこの巻物の「七つの封印」が、徐々に開封せられる。その結果この「全地の審判」の順序は次の如く行われる。

(A)七つの封印 (六章一節ー八章五節)
(B) 七つのラッパ (八章六節ー十四章)
 (第六のラッパの結果 十章一節ー十一章十四節)
 (第七のラッパの結果 十二章ー十四章)
(C) 七つの金鉢 (十五章ー十六章)
(D) 大バビロンの審判 (十七章ー十八章)

(A) 七つの封印 (六章一節ー八章五節)  

⁋第一の封印が解かれると、第一に白き馬に乗れる者が出で来り、第二の封印をとくと赤き馬に乗れる者が、第三の封印をとくと黒き馬に乗れる者が第四の封印をとくと青ざめたる馬に乗れる者——これを「死」といい、これに陰府が従っている——第五の封印をとくと、殉教者の魂の叫びがきかれ、第六の封印をとくと、全地の人々の上に大災禍が下る。その人々とは「地の王たち・大臣・将校・富める者・強き者・奴隷・自主の人々」であり(六章十五節)、彼らは羔羊の現前には堪えられず「洞と山の殿間とに匿(かく)れ、山と厳とに対いて・請う我らの上に墜ちて御座に坐したもう者の御顔より、羔羊の怒より、我らを隠せ」と叫ぶものとされている。

(b) 七つの喇叭 (八章六節—十四章)

⁋第七の封印がとかれると、凡そ半時の間天は全く静寂であったが、その時神の前に立っていた七人の御使が「七つの喇叭」を与えられた(八章一ー二節)。このラッパが一つ一つ吹かれることにより、新しい災禍が地上に下される。特に第六のラッパの吹かれた結果と(十章一節ー十一章十四節)第七のラッパの吹かれた結果とには(十二章 ー十四章)、それぞれ他の場合になかった特殊の場面が展開せられている。殊にこの中で注意すべき事は、天に戦が起って、天使ミカエルと「悪魔・サタン・古き蛇」なる龍と戦い、龍は遂に敗けて、その使たちと共に地上に追い落されるということと、その結果彼はその魔力を今までにまさって地上に及ぼすということと、更にその権威を与えられた二つの獣が、専ら彼の能力にょって地上を撹乱するということとである(十二章七節ー十三章十八節)。

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第三章 預言書>第一節 ヨハネ黙示録概説 9 終わり、次は第一節 ヨハネ黙示録概説 10

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