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⁋以上の諸点の綜括的頂点として、本書は「再臨俟望」を述べている。この再臨こそ信仰者の一切の苦痛を解決するものであり、朽つる者が朽ちざるものを嗣ぐ時を意味する。然しこの朽つる者が朽ちざるものを嗣ぐという光栄は、 これを嗣ぐに先き立って嗣ぐ者の試煉を前提する。主の再臨を有弁に述べるコリント前書は
「この朽つるものは朽ちぬものを著、この死ぬる者は死なぬものを著んとき、死は勝に呑まれたりと録されたる言は成就すべし」
とこの関係を表現したが(十五章五十四節)、ペテロ前書は、その全巻が、この朽つる者と朽ちざるものとの関係の論理の展開という事が出来る。書簡の後半は凡て主の再臨と、それに先き立つ必然的な教会の迫害と忍耐とを叙るが、この忍耐を朽つるものと朽ちざるものとの結びつきの論理におて展開する処に本書の独自性が観られる。
本書の内容は次の如く区分される。
挨 拶 (一章一節ー二節)
第一 朽ちざるものの嗣業 (一章三節―二章十節)
第二 朽つるものへの責任 (二章十一節ー三章十七節)
第三 朽ちざるものの試練 (三章十八節ー五章十一節)
結 語 (五章十二―十四節)
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