第二章 第十七節 ペテロ前書概説 3

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第二章 教会書>第十七節 ペテロ前書概説

⁋この特徴がペテロをして、弟子らの中でその指導者たらしめた。勿論それは他の弟子らが未婚であったらしいのに、彼のみが妻をもち、家庭をもっていた事にも、その一つの原因があったかも知れない(マルコ伝一章三十節・コリント前書九章五節)。イエスの十字架にさいしては、主を否むという大失態を演じたが(マタイ伝二十六章六十九節以下併行節)、然しペンテコステ後における。彼は、もう一度弟子らの中における指導者となったのみならず、教会創設と共にその最初の説教をしたのは彼であったし、また異邦人伝道の新時代が始まるまで、母教会に指導的位置をとったのも彼であった(使徒行伝二章十四節・四章十三節等)。ペンテコステ後においても彼は失敗しないわけではなかった。アンテオケ教会においては、「ヤコブの許より」或る人々がきた時、彼らをはばかった為に、後輩パウロから面責せられたというようなことがあった(ガラテヤ書二章十一節以下)。然し彼が純情的にして且つ真卒であったことは、彼が民族的伝統によって、異邦人に福音を伝えることを拒んでいた時、異象によって示されてのちは、その態度を翻然と改めた点に現われている(使徒行伝十章)。しかして最初の教会会議においても、この新しい立場に立って証し、教会の新発展に対して刺激となったことも、 彼のこの特徴を示すものである (同十五章七節以下)。
⁋ペテロはヘロデ王の為に牢獄につながれたが、天使によってそこから救い出され、マルコの母の家に行ったのちは、その指導的位置を後輩パウロにゆずって、最初の公的教会歴史ともいうべき使徒行伝には、この第十五章以下には現われてこない。それはペテロが「割礼なき者に対する福音を委ねられたる」に対し・彼は「割礼ある者に対する福音を委ねられた」ので、教会の発展が異邦人時代という新時代に向った為である(ガラテヤ書二章七節・使徒行伝十三章四十五節以下)。
⁋このペテロが晩年に書いたものとして、遺っているのが、このペテロ前後書である。

ーー

第二章 教会書>第十七節 ペテロ前書概説 3 終わり、次は第十七節 ペテロ前書概説 4

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説第二章 教会書第十七節 ペテロ前書概説

 
 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう