第二章 第十五節 ヘブル書概説 18

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第五 勝れるものの追求1 (十章三十二節―十一章四十節)

⁋本書に発展させられているキリスト論は、若しこれが理解せられる場合には、強い信仰的決意を喚び起さずにはいない。本書の筆者は、その実践的教訓を、具体的に述べる前に、この部分においてこのキリスト論からの当然なる、神学的帰結ともいうべきものを記している。この部分は、勝れる所有の堅持と勝れるものの追求との二小部分に分たれる。

(1) 勝れる所有の堅持 (十章二十二ー三十九節)  

⁋上述の論理は、初めて以下の如き論理的帰結となっている。即ち天使より勝れる者・モーセより勝れる者・アロンより勝れる者・犠牲より勝れる者が、完成なし給いし救が、信仰者らに与えたものこそ、「永(なが)く存(そん)する勝れる所有(もちもの)」である (十章三十四節)。従って筆者は、彼の書簡の受け取り手に、彼らが与えられている「勝れる所有」そのものに就て、

「永く存するもっとも勝れる所有の己れにあるを知りて、我が所有を奪わるるをも喜びて忍びたり。されば大いなる報を受くべき汝らの確信を投げすつな」

といい、更に旧約聖書ハバクク書(2:4)の言を引いて(十章三十八節)

「我につける義人は、信仰によりて活くべし。もし退かばわが心これを喜ばじ」

と、この部分の奨励を終っている (同三十七節)。

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第二章 教会書>第十五節 ヘブル書概説 18  終わり、次は第十五節 ヘブル書概説 19

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