第二章 第十五節 ヘブル書概説 15

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第二章 教会書>第十五節 ヘブル書概説

第三 アロンより優れる者 3(四章十四節―七章二十八節)

(3) 優れる契約の保証としての大祭司 (七章十一二十八節) 

⁋筆者の論述は、なおも進んで大祭司論の根本にふれている。この根源的なる点は、三つに分けて論じられている。その一は(七章十一十四節)・メルキゼデクの位の祭司が、約束せられているということが、既に己にアロン系の旧制祭司が劣っていることを証明しているということである。

「もしレビの系なる祭司によりて全うせらるる事ありしならば(民は之によりて律法を受けたり)何ぞなお他にアロンの位に等しからぬメルキゼデクの位に等しき祭司の起る必要あらんや」

と論じ、進んで祭司のかわる時は、必然的に律法も代るべきであるとし、イエスがユダ族より出で給いし事により、このメルキゼデク系の新祭司が、当然アロン系のそれを置換すべきものであると論じている。その二は(十五ー十九節)・メルキゼデク系新祭司が、「永遠」であるということは、その事自身既に己にアロン系のそれが一時的であることの証拠であるという点である。ここで今まで数回引用せられた詩篇第百十篇の

「汝は永遠にメルキゼデクの位に等しき祭司たり」

いう言が(同詩四節)、千釣(せんきん)の重味を以てひびいてくる。この言こそ実にメルキゼデク系祭司の「永遠性」を預言したものである。筆者はここで更に、福音によって律法が置換せられたことを、論理的に利用し

「前の誡命は弱くかつ益なき故に廃せられ(律法は何をも全うせざりしなり)更に優れたる希望を置かれたり、この希望によりて我らは神に近ずくなり」

と、巧に論じている。その三は (二十ー二十八節)・旧アロン系の祭司制度に関しては、何ら神は誓い給いしことがなかったが、このメルキゼデク系の新祭司に関しては、神は特に次の「誓」を以て、これを任命なし給うたのである。

『即ち彼に就きて・主ちかいて悔い給わず「なんじは永遠に祭司たり」と云い給いしが如し』

といわれているが、 これは前述の詩篇第百十篇第四節の前半なる、

「エホバ誓を立てて聖意をかえさせ給うことなし」

という言を用いてせられた、おどろくべく巧妙なる論証である。この意味において大祭司キリストは、旧制祭司制度の契約に代る「優れたる契約の保証となり給」うたのである「七章二十二節)。ここに初めて永遠の大祭司が立てられ、彼に来る者を救うことが 出来るのである(七章二十三節以下)。以上が旧アロン系祭司制度に代るに、新メルキゼデク系祭司制度が立てられた論理である。

ーー

第二章 教会書>第十五節 ヘブル書概説 15  終わり、次は第十五節 ヘブル書概説 16

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説第二章 教会書>第十五節 ヘブル書概説 

 
 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう