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⁋斯(か)くする時一つの誤解が起るかも知れない。というのは基督論論述が、本書の根本問題または中心問題であって、実践的奨励は附録的意義しかもたないと考え易いからである。これは非常な誤で、本書が書簡であるということからみて、前述のように、本書の目的は実践的奨励にあったのである。それが為に基礎理論として基督論が論述せられているわけである。従って一なくしては他はあり得ないし、他をいう事なしに、一を語ることはできないという関係におかれている。
⁋加之(しかのみならず)・本書が古来問題とせられてきた「再悔改否定」という点などは、この実践的奨励の部分に述べられている事がみられる (六章六節・十章二十六節)。 これによってみると、本書の重要な神学的主張は、むしろこの実践的奨励の部分の方に、見出されるという事もできる。従って本書を学ぶ者は、何よりも先ずこの事を銘記しなければならない。以上の理解を以てみると、本書は次の如く分たれる。
第一 天使より勝れる者 (一章一節ー二章十八節)
——この項に対する奨励 (二章一ー四節)
第二 モーセより勝れる者 (三章一節—四章十三節)
——この項に対する奨励 (三章七節—四章十三節)
第三 アロンより勝れる者 (四章十四節―七章二十八節)
——この項に対する奨励 (五章十一節ー六章十二節) ・
第四 犠牲より勝れる者 (八章一節ー十章三十一節)
——この項に対する奨励 (十章十九ー三十一節)
第五 勝れる者の追求 (十章三十二節―十一章四十節)
結 尾 (十二章ー十三章)
以下これによってみてゆこう。
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