第二章 第十四節ピレモン書概説 4

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第一  信仰的飛躍の要請 (二節ー十四節) 3

⁋ (2)第二は・信仰の交際はその自然的結合を超えて、キリストより与えられた新たなる結合としてこれを受け取り直さなければならないということである。それは信仰的交際が信仰的飛躍を要請する所以である。それはパウロが奴隷オネシモの名を語戯的にもじっていっている次の言に明示されている。即ちパウロは「かれ前には汝に益なき者なりしが、今は汝にも我にも益ある者となれり」という言である(十一節)。オネシモとは本来「益する者」の意である。「前には」とはオネシモの回心前を指し、従ってピレモンの奴隷であった時の自然的結合の時を指し、自然的結合としての交際を指している。「今」とは、いうまでもなく主に在る者となった時である。
⁋パウロの訴は、ピレモンに対しては怒の対象である逃亡奴隷オネシモではあるが、主に在ってピ レモンがオネシモを赦し、単に赦すのみに止まらず、之をもう一度「主に在る結合」として受け取り直すということである。信仰を与えられるということは、其の信仰に由てその人の凡てが解釈され直すということである。それはその個人の過去の経験の一切の再解釈ともなりその個人の環境の再解釈ともなり、ひいてはその個人と他との自然的結合の信仰的な受け取り直しを意味する。信仰者においては、常に新たに与えられた光と確信とに由る「受け取り直し」即ち再解釈が要請せられる。

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第二章 教会書>第十四節ピレモン書概説 4  終わり、次は第十四節ピレモン書概説 5

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