第二章 十一節 テモテ前書概説 8

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説

第四  教会と注意 (五章一節ー六章十節)

⁋この部分においてパウロは教会における「老人・老女・若き女・寡婦・若き寡婦」等に関する注意を事細かに与えている。かれらの中で「寡婦」の場合は、特に「寡婦の籍」という語が記され、これに記さるべき条件として、「六十歳」以上なるべきことと、「一人の夫の妻たりし者」たるべきことが規定せられている。これは種々に解釈せられているが、後世の女執事という程進んだものではなく、ただ教会内において、この年齢の老女として、婦人及び子供——殊に寡婦および孤児などに対して、いわゆる「世話をする」為の位置であったであろうと思われる。これに対しては、「誓約」が為され、 結婚をせざることが約束せられたものであったらしい。従って

「若き寡婦は籍に記すな、彼らキリストに行きて心乱るる時は嫁ぐことを欲し、初めの誓約を棄つるに因りて批難を受くべければなり」

と記されている (十一ー二節)。
⁋この部分の次に「長老に関する注意」が記され(十七節以下)、更に進んで「奴隷たる者」に関する注意が与えられている(六章一節以下)。しかしてテモテに対する衛生上の注意が与えられている(二十三節)。また「汝これらの事を教え、かつ勧めよ」として(六章二節—十九節)、諸種の 注意奨励が与えられている。

第五  宣教とテモテ (六章十一ー二十一節)

⁋この最後の部分には、パウロは、テモテに対して「神の人と」呼びかけ、宣教者としての彼に厳粛にして懇切なる注意を与えている。

「われ凡ての物を生かしたもう神の前及びボンテオ・ビラトに向いて善き言明(いいあらわし)をなし給いしキリスト・イエスの前にて汝に命ず」

とはその言である(十三節)。しかして

「妄(みだ)りなる虚しき物語また偽りて知識と称うる反対論を避けよ」

と記して、若き伝道者の陥り易き点に対し、もう一度注意を促している(二十節)。
⁋最後に、この書簡全体の結尾たる「願わくは御恵、なんじと共に在らんことを」という言を以て、この牧会書簡は閉じられている。

ーーーー

第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説8 終わり、次は第十二節テモテ後書概説 1

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説 

 
 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう