第二章 十一節 テモテ前書概説 7

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第二 教会 と 秩序 (二章―三章)

⁋パウロは先ずこの部分の最初に、教会員の在り方とその秩序に就て教えている(二章一ー十五節)。そこでは凡ての人、殊に「凡て権をもつもの」 の為に祷告せらるべきことが命ぜられ、それによって初めて信仰者の生活が、「安らかに静か」なることが可能となるといわれ、しかして斯くすることこそ「美しき中にして我らの救い主なる神の御意に適うこと」と記されている(三節)。次いで(八―十五節)教会員中の男子に対して「何れの処にても潔き手をあげて祈らんことを」求め、女子に対しては、衣にて己を飾らず「善き業をもて飾とせんことを」求めると共に、「静かに道を学び」殊に

「女の教することと男の上に権を執ることとを許さず」

ときびしく命令している(八―十二節)。
⁋次に(三章) 教会の役員に関する指示が記されている。これらの指示を読むと、当時この地の教会が置かれていた周囲の社会の道徳的状態がよくわかる。即ち「監督」に就て「一人の妻の夫にして」といい、更に「人を打たず」といっている。また「執事」に就ては「大酒せず」といい、前同様「一人の妻の夫にして」といっている。此の規定は明かに当時の教会に、「二人の妻の夫」たる信者が、あったことを示している。之を第一の妻の死後、第二の妻を娶ることを禁じたものと解した古い解釈は、初代教会の道徳的状態弁護の為の強釈である。この項の終にパウロは、速かにテモテの処に往くことを望んでいるが、万一おそい時の為に、この書を 書き送るといい「敬虔の奥義」に就て記し、これをこの部分の結尾としている。

第三  教会とテモテ (四章)

⁋この部分の最初に「御霊あきらかに、或る人の後の日に及びて、惑わす霊と悪鬼の教とに心を寄せて、信仰より離れんことを云い給う」と記し、斯かる時に若き伝道者たるテモテが、如何に宣教し、また身を処すべきかを教えている。そこには

「年若きをもて人に軽んぜらるな」

といわれ、「信者の模範となれ」といわれ、

「読むこと勧むること教える事に心を用いよ」

といわれ、

「賜わりたる賜物を等閑(なおざり)にすな」

といわれている(十一ー十四節)。しかしてこの凡てのことは、

「信仰と善き教との言にて養わるるところの良き役者」

となる事を意味し、それを要約すれば「自ら敬虔を修業せよ」ということになる(六ー七節)。テモテは斯くすることによって、「己と聴く者とを救う」ことができるのである。

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第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説7 終わり、次は十一節 テモテ前書概説 8

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