第二章 十一節 テモテ前書概説 6

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序  言 (一章一ー二節)

⁋パウロはここに、他の書簡におけると同様、彼自身の使徒たることの宣言と宛名の者に対する挨拶とを記しているが、特に

「信仰に由りて我が真実の子たるテモテ」

と記して、テモテに対する彼の親愛の情を表現している。この言は彼の書簡中テモテとテトスとに対して用いられているのみである。

第一  福音とテモテ (一章三節ー二十節)

パウロは先ずこの本文の最初に、伝道者としてのテモテに、福音宣教にさいしての彼の為すべきことを指示している。 彼はその指示に対して、

「これは我に委ね給いし幸福なる神の栄光の福音に循えるなり」

といっている(一章十一節)。この指示の内容は、先ずエペソにおいて「或る人々」の両方面における誤謬を正さんことの要求である。即ち一方には(三ー五節)異る教を伝えることと、昔話と窮(きわま)りなき系図とに心を寄することなからしめ、他方には(六ー十節)、律法に関する誤謬に陥ることなからしめよといっている。しかして彼は彼自身の経験を述べて、テモテに対する奨励とし(十二―十七節)、進んでテモテに福音の為「よき戦闘を戦わん」ことを求めている(十八―二十節)。ここで「福音」は「健全なる教」によって語られるものであり、その教の内容は「キリスト・イエス罪人を救わんために世に来り給えり」ということである(十一・十・十五節)。他の書簡にも用いられているが、特に本書と後書とにおいて重要な意義をもつ、「或る人」という語が、此の部分から既に「異なる教を伝える」として(一章三節)、「律法の教師たらんとする者」として(同七節) 現われている。是は本書の背景を示す重要な語である。

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第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説6 終わり、次は十一節 テモテ前書概説 7

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