第二章 十一節 テモテ前書概説 5

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⁋この敬虔と教との関係は、

『実に大いなるかな、敬虔の奥義 ・ キリストは肉にて顕わされ、 霊にて義とせられ、御使たちに見られ、もろもろの国人に宣べ伝えられ、世に信ぜられ、栄光のうちに上げられ給えり』

という言によって教えられている(前書三章十六節)。即ちこの「敬虔」にはそれが由て来る源または奥義がある。その奥義とは「キリスト」であるが、然しこのキリストとは、前掲の言の後半に詩形を以て表現せられている「教」に現われ給うキリストである。ここに「敬虔」と「教義」との連関がみられている。
⁋旧約書は神の啓示の様式を大きくは三種類に分けて、これを預言者的なるもの、祭司的なるもの、及び智者的なるものに分けている。預言者的なるものの特徴は人間に対して「上から」語りかける処にあり、祭司的なるものは「下から」民を代表して神の言をうけて語る特徴を示し、智者的なるものは「横から」処世法の示唆を与える処にその特徴をもっているといわれる。この牧会書簡のもつ雰囲気とこれが与える印象とは、いわば智者的系統のそれである。即ち「真の敬虔を修業せよ」と教えるテモテ前書は、

「事の全体のきする所を聴くべし、長く神を畏れ、その誡命(いましめ)を守れ、是は諸ろの人の本分なり」

と勧めた智者の言に対する新約的反響の如く感じさせられる(伝道之書十二章十三節)。此の意味において本書は他の二書と共に、同じくパウロの書簡とせられてはいるが、ロマ・コリント・ガラテヤ等の書簡とは、全く異った雰囲気をもっている。
本書の内容は、次の六つに分たれる。

序 言 (1章11節)
第一 福音とテモテ (一章三ー二十節)
第二 教会と秩序 (二章―三章)
第三 教会とテモテ (四章)
第四 教会と注意 (五章一節ー六章十節)
第五 宣教とテモテ (六章十一ー二十一節)

以下これに従ってみてゆこう。

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第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説5 終わり、次は十一節 テモテ前書概説 6

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