第二章 十一節 テモテ前書概説 1

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⁋使徒パウロの書簡と呼ばれているもののうち、個人に宛てられたものは非常にわずかである。即ち「牧会書簡」と称ばれているテモテ及びテトスに宛てた三書と、ピレモンに宛てたピレモン書とのみである。このテモテ前書を始として、牧会書簡と称ばれる三書は、他の書簡においてみられるような福音の直接的開明を目的としたものではなく、伝道者なる宛名の二人に対し、教会の役者としての牧会または実践に関する指導と勧告を与えることを目的として記されたものである。
⁋この牧会書簡の宛名の一人なるテモテとは、使徒パウロが「わが真実の子」と呼び(テモテ前書一章十二節・後書一章二節)、また

「彼(テモテ)のほかに我(パウロ)と同じ心をもて真実に汝らのことを慮ぱかる者なければなり」

とピリピ教会に書き贈ったほど(二章二十節ー二十二節)、パウロの最も愛し且つ信頼した弟子であり、その同労者であった。彼は今日の小アジアのルカオニアの生れで、その母は

「信者なるユダヤ人・父はギリシャ人」

であった。パウロが第二伝道旅行の途次、この地のデルベとルステラ両邑(りょうゆう)に来た時初めて相識(し)り、パウロのこの地を出立する時、乞うてパウロの行に加わった(使徒行伝十六章一節以下)、 彼の家庭は極めて信仰的のものであったらしく、パウロは

「その信仰のさきに汝の祖母口イス及び母ユニケに宿りしごとく」

と記している(後書一章五節)。しかして彼は未だ若くあって

「ルステラ・イコニオムの兄弟たちの中によき聞え」

があったが、然しパウロに会った時には未だ割礼を受けていなかった。パウロは彼の母方がユダヤ系であったので、附近のユダヤ人を躓(つまず)かせないようにと思って、この地を出発する前、彼に割礼を施したのであった (使徒行伝十六章三節以下)。

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第二章 教会書>十一節 テモテ前書概説 1 終わり、次は十一節 テモテ前書概説 2

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