第二章 第九節テサロニケ前書概説 1

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⁋テサロニケはマケドニア地方の政治的交通の中心地である。使徒行伝によると、パウロは彼の第二伝道旅行の時、シラスとテモテとを伴ってこの地に行き、そこに教会を建てた。彼はトロアスからマケドニアに渡り、先ずビリビを訪れて後、テサロニケに到った。そこに三度びの安息日止まったが——本書におけるパウロの言は(二章九ー十節)この地における彼の滞在が、「三つの安息日にわた」ったよりは(使徒行伝十七章二節)遙かに長かったような印象を与えるが——ユダヤ人らの嫉みによって伝道は中断され、ベレアから更にアテネへ行き、遂にコリントまで追われて行った。このコリントで(同十八章十一節)またはアテネから(本書三章一節)——彼はテモテから迫害中にあるテサロニケの教会に就ての情報を聞き、それが彼の予想に反した喜ばしいものであったので、その感激から筆をとってこの書簡を認めたと想われる。
⁋従って本書執筆の目的は、テサロニケ教会が凡ゆる患難にも拘らず、生き活きとして教会生活をつづけている事に対するパウロの賞讃を伝え、且つ再臨に関して起った疑問に答え、妄(もう・みだら)なる者を戒めんが為であった。その教会の信仰的在り方が使徒パウロによって賞讃せられているのは、書簡群の中にただ、このテサロニケ教会ピリピ教会であることを注意しておく必要がある。本書は次の如く区分される。

挨  拶 (一章一節)
第一 患難への定め (一章二節ー三章)
第二 再臨への深め (四章ー五章二十四節)
結 語  (五章二十五節ー二十八節)

第一 患難への定め (一章二節―三章) 1

⁋先ずここにはテサロニケ教会が大いなる患難のうちにも、聖霊に由る喜悦をもって神の言をうけ、マケドニや及びアカヤに在る凡ての信者の模範となり、神に対するテサロニケ教会の信仰のことが、諸方に広まったことを、パウロは神の前に感謝している。然しパウロは彼らをして、この患難が決して偶然のことではなく、これは教会の常に担うべき「定め」であるという 事に注目せしめている。即ち「思難に遭うことの我らに定まりたるは、汝等みずから知る所なり。我らが思難に遭うべきことは、汝らと世に在りしとき預め告げたるが、今果して汝らの知るごとく然か成れり」と記されている(三章三ー四節)。しかしてこの部分は、定まれる患難への処し方及び定まれる患難の真相、の二点からみる事が出来る。

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第二章 教会書>第九節テサロニケ前書概説1 終わり、次は第九節テサロニケ前書概説2

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