第二章 第七節 ピリピ書概説5

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第一  価値転換の福音 (一章十二節―三十節)

⁋ピリピ書はパウロが獄中から送った書簡の一つである。然るに本書の基調をなすのは意外にも「喜び」という事である。この部分は、斯かる福音の世界の矛盾を紹介することにより、価値転換せしめる福音を仰視(ぎょうし)せしめる。パウロはここに、彼が投獄された患難は反って、意外にも福音の進歩の助けとなったことを述べ、

「我これを喜ぶ、また之を喜ばん」

と録している。

「兄弟よ、我はわが身にありし事の反って福音の進歩の助となりしを汝らが知らんことを欲するなり。即ち我がなわめのキリストの為なることは、近衛の全営にも、他の凡ての人にも顕われ、かつ兄弟のうちの多くの者は、わがなわめによりて主を信ずる心を厚くし、懼(おそ)るる事なくますます勇みて神の言を語るに至れり。或る者は嫉妬と分争とによりてキリストを宣べ伝え、あるものは善き心によりて之を宣べ伝う。……我にとりて、生くるはキリストなり、死ぬるもまた益なり」

と述べている(十二節以下)。
⁋福音の福音たる所以(ゆえん)は、その敵の意図をも逆用し、その目的に向ってこれを変容せしめる処にある。従って教会は、教会に逆う敵に囲まれていながら、何らおじまどう必要はない。

「その驚かされぬは、彼らには亡(ほろび)の兆(しるし)、汝ら(教会)には救の兆にて此は神より出ずる」

からである (同二十八節)

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