第二章 第七節 ピリピ書概説2

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⁋本書は普通一般に「喜びの書簡」と称ばれるほど、その中には「喜び」という語と気分とが溢れているが、それに劣らず本書に強調されているのは「心」ということである。しかして本書の訴の中心は

「キリスト・イエスにあっていだいているのと同じ思い」

という言に見出される(二章五節)。このキリスト・イエスの心とは、これに続く次の言に解明されている。即ち

「彼は神の貌(かたち)にて居給いしが、神と等しくある事を固く保たんとは思わず、反って己れを空しうし、僕の貌(かたち)をとりて人の如くなれり」

というのがイエスの心である(二章六ー七節)。キリスト・イエスの心とは、一言でいえば神の子の自己謙虚(へりくだり)ということである。神の子の自己謙虚とは取りも直さず、神の子の絶大なる価値転換という事である。福音の裏づけは斯くの如き神の側における自己謙虚であり、神の子キリストの絶大なる価値転換である。然れば、この福音はこれに与かる者をしてまた価値転換を味わしめる。福音とは、生来の人間においての価値転換の創造の能力に他ならない。さればパウロはピリピの教会に対して

「我いかにキリスト・イエスの心をもて汝らすべてを恋い慕うか」

と告白しているのである。

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第二章 教会書>第七節 ピリピ書概説 2 終わり、次は第七節 ピリピ書概説 3

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