第二章 第六節 エペソ書概説2

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⁋このエペソの教会に宛てた書簡は、他のパウロ書簡と比べると、その「挨拶」の部分が極めて簡単であること、その中にエペソ教会特有の問題と思われることが甚だ少いということ、 及びその中に彼の個人的知人に対する言が殆んど見出されない、ということ等において非常に異っている。此等のことから——本書の宛名の問題などをも含めて——本書簡は此の地方の諸教会に対する「回章」であったかも知れないといわれている。この想定はコロサイ・エペソ・ ラオデキヤ及びヒエラポリスの四市邑の地理的位置からも強められる。此等の四市はともに小アジアのリュクス Lycus 地方に在り、互に近接していた。 最初の二市の教会に宛てた書簡が、エペソ及びコロサイ両書であるし、ラオデキヤにも教会のあったことが知られているし (黙示録三章十四節以下)、またヒエラポリスにも集会所があったらしく、パウロの同労者エパフラスがこの地の信仰者の為に心を労していたことが記されている(コロサイ書四章十二ー十三節)。 パウロにはこれらの近接市の諸教会に書簡を送るに際し、之を回章として送ることが非常に便宜であったであろう。現に斯くのごとき回章が、パウロからこの地方の諸教会に送られたことは、コロサイ教会に宛てた書簡の終に「この書を汝らの中にて読みたらば、これをラオデキヤ人の教会に読ませ、汝等はまたラオデキヤより来る書を読め」といわれている事によっても知られる(四章十六節)。
⁋さてエペソ書の中心的目的は、「教会の本質」の何たるかを教えることに視られる。即ち本書はロマ書の如く、福音の本質を対世界的に宣言するのではなく、またコリント書の如く、教会をその現実相において分析して教えんとするのでもない。本書はむしろ「教会の本質」を永遠の相において捉え、その奥義をして端的に語らしめる点にその特徴をもっている。

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第二章 教会書>第六節 エペソ書概説 2 終わり、次は第六節 エペソ書概説3

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