第二章 第五節ガラテヤ書概説8

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第二 パウロの福音的義認の論証 (三章ー四章)3

⁋論証の第二は・アブラハムの二人の子の位置からの福音的義認の論証である。即ちアブラハムには二人の子があった。一人は正妻サラの子イサクであり、他の一人は婢女(はしため)ハガルの子イシマエルであった。アブラハムの伝記が示している如く、婢女ハガルの子は、信仰に由らざる——それはアブラハムが神の約束を待たずしてその妻サラの勧めに応じて婢女を家に入れて産ませた子であったから(創十六章参照)——人間的細工に由て生れた子である。「婢女よりの子は肉によりて生れ」と記されているのはその意味である。然し正妻サラから生れたイサクは神の約束を信じた結果与えられた子であるから、イサクは「約束の子」であり、信仰に由る子である (四章二十八節)。 しかしてその歴史が示すように、この二人の子の間には常に闘争が絶えないで、肉によって生れし者即ち信仰に由らぬ者は、信仰に由る者を迫害しつづけて、その信仰を動揺せしめんとした。 然しこの両者に対する聖書の宣告は次の通りである。

「婢女とその子とを逐(お)いいだせ、婢女の子は自主の女の子と共に業を嗣ぐべからず」

と記されている (同三十節)。ここまで選民の歴史から論証して、パウロは最後に

「されば兄弟よ、われらは婢女の子ならず、自主の女の子なり」

と、その信仰的系譜を明かにし、福音に与かる者の律法からの全き絶縁を教示している(同三十一節)。

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