第二章 第五節ガラテヤ書概説5

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第一 パウロの使徒的召命の実証 (一章六節―二章)3

⁋エルサレム教会では、教会の主なる人々は、ペテロが割礼あるユダヤ人に対する福音宣教を委ねられた如く、神はパウロにも割礼なき異邦人に対する福音宣教を任命し給ふた事を承認した(二章七節以下)。然るにその後ケパ(ペテロ)はアンテオケ教会において異邦人と交っていたのに、ヤコブの許から人が来てからはユダヤ人の眼を恐れて、異邦人とは交わらぬという古いユダヤ人の慣習に基いてその交を中止した(同十一節以下)。そこでパウロは会衆の面前でこの虚偽的行動をとったペテロを詰問した。

⁋以上のことは、一方にパウロの行動における使徒的召命の一貫性を証し、他方ペテロにおけるユダヤ教との妥協的精神を立証する。パウロが当時の教会の大指導者ペテロをさえも会衆の面前で責めたのは、この問題こそ、教会が立つか倒れるかの死活問題だからであった。キリストの福音は正に額面通り、「律法からの自由」である。その故に福音は「律法に拠らずんば」 とか「割礼を受けずば」と主張する律法主義のユダヤ教的キリスト教とは絶縁する。福音に与かった者は、キリストの十字架において律法と絶縁し、律法の束縛から解放された者だからで ある。それを述べるのがパウロの

「我は神の恩恵を空しくせず、もし義とせらるること律法に由らば、キリストの死に給えるは徒然(いたずら)なり」

という言である(二章終)。

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