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第一 パウロの使徒的召命の実証 (一章六節―二章)1
⁋パウロの使徒としての召命は何ら彼の人間的条件に由来していない。それはまた他人から勧められたのでもなければ、他人から強いられたのでもない。他人の感化に由ったのでもなければ、人からの任命によったのでもない。それは人間的つながりとか情実とは、全く無関係に起っ た「上から」の召命であった。されば彼が伝えた福音も
「人に由れるものにあらず、我は人より之を受けず、また教えられず、唯イエス・キリストの黙示に由」
ったのである(一章十一節以 下)。それ故このパウロが會(かつ)てガラテヤ諸教会に伝えた福音に背いた教は、凡て異端と云わるベ きものである。
「されど我等にもせよ、 天よりの御使にもせよ、我らの曾て宣べ伝えたる所に背きたる福音を汝らに宣べ伝うる者あらば詛わるべし。われら前に云いし如く、今また云わん、汝らの受けし所に背きたる福音を宣べ伝する者あらば詛わるべし」
とは、この点に関するパウロの絶対的確信である(一章八節以下)。パウロの語るところは、この使徒的召命に基いて語る以外の何ものでもない。彼にとりては、人が好むことを語って人間を喜ばせんとするか、或はこの召命を与え給うた神を喜ばせんとするかの何れかであって、この二者選一あるのみである。 しかして彼自身は人間を喜ばせる為には語らないと断言する(同十節以下)。
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