第二章 第四節 コリント後書概説13

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第三 使徒パウロの権威行使 (十章ー十三章十節) 3

⁋さてパウロはこの書簡の終に近ずくに至り

「汝らは夙(はや)くより我等なんぢらに対して弁明すと思いしならん。されど我らはキリストに在りて神の前にて語る」

と述べているが(十二章十九節)ここにこの書簡の書かれている、立場及び使徒的権威の宣明がみられる。この「キリストに在りて神の前にて」語るという言は本書を貫いて反復されている言である(二章十節・十七節・四章二節・七章十二節・十章四節等)。ここに云はれんとしている含蓄は、「神の前にて」という語り方の次元の理解なき者には、以上のパウロの語った凡てが、単なる自己弁明としてしか響かないであろうというのである。この書の偉大さは、人間的情熱 (パトス) が排除された処に存するのではない。反って凡ゆる激しい情熱が、「神の前にて」という処からほとばしったものであるところに見られる。然ればパウロのこの書面を通しての訴は、弁明者パウロの使徒的権威の是認または評価にあるのではない。むしろパウロの使徒的権威の逆説的弁証を受け取る読者の理解の次元が問題にされてくる。即ちそれははや使徒パウロの行動の可否、人物の可否の問題ではなく、人が「真理に逆うか・服するか」 の問題になってくるという。

「我らは真理に逆いて能力なく、真理のためには能力あ」

る者であるからである (十三章八節)。

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第二章 教会書>第四節 コリント後書概説 13 終わり、次は第四節 コリント後書概説 14

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