第二章 第四節 コリント後書概説2

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⁋現形における本書簡において明瞭に知られることは、本書の最初の三分の二においては、一種の「安心した喜び」といった気分が顕われているのに対して、最後の三分の一においては、 「誣告(ぶこく)された者の憤り」という気分が感じられるということである。しかしてこの「憤り」の原因になっていると思われる「誣告」が、そこに用いられている引照または語句によって察知できる。即ちそれはパウロの人格と使徒職とに関するものであったらしい。この誣告(ぶこく)は、後述するガラテヤ教会を攪乱したと同系のユダヤ的キリスト教指導者が、このコリント教会にも来って、之を攪乱し、その基礎を動揺させんが為に、パウロに加えたものの如くである。この第一たるパウロに対する人身攻撃には、可成りひどいものがあったように見える。先ず彼は甚だしい卑怯者で、コリントの信者らの

「面前にては謙(へりくだ)り、離れいては勇まし」

く、彼等に

「逢う時の容貌は弱く・言は鄙(いや)し」

く、彼らから「離れいては勇まし」く、彼らに送る

「その書は重く、且つ強」

いと、その面従後背的なることが責められている(十章一節・十節)。或はパウロがその使者によって、彼らから財物を「狡猾にして詭計 (たばかり)をもて取り」、且つ彼ら

「を掠(かす)めし」

と誣(し)いた (十二章十六ー七節)。更にまたパウロはコリントに来るということを何回もいいながら、一向にそれを敢えてする勇気がないと、パウロが事情已むを得ずコリント行きを変更した事実を利用して悪口している(前書四章十八—二十一節・後書一章二十三節・十三章二節以下等)。

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第二章 教会書>第四節 コリント後書概説 2 終わり、次は第四節 コリント後書概説 3

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