第二章 第四節 コリント後書概説1

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⁋コリント後書は、パウロ書簡ひいては新約聖書の凡ての書簡中、その背景が紛糾していること、その内容が錯雑していること、従ってその解釈が多くの難点を含んでいるという事において、特に研究者の注意を惹く書簡である。この点において本書は、恰度旧約聖書におけるエレミヤ書と似ている。ロマ書からコリント前書を経て本書簡に移る時、読者は壮大なる設計による整然たる一公園から出て、明確な区画によって畦畔(あぜみち)のつけられた田圃(でんぽ)を経て、 どう足を踏み入れてよいのかわからないような叢林(そうりん)に入り込んだ、という感をもたせられる。というのは本書簡の個々の語句や個々の文章が解釈できないという意味でなく、その個々の部分を支配している気分の差異、それぞれの関係等が、なだらかなる解釈を許さないという意味における困難である。
⁋本書簡解釈におけるこの困難は、ある程度まで本書の内容が、本書に先行した筈のコリント前書の記述からでは、充分に理解できないということに原因している。 同時に前書(五章九節)および後書(二章四節)において本書簡の筆者が他に二つの書簡をこのコリント教会に書き送ったといっていることが、本書の解釈に——新約緒論において知られている如く、批評上の困難を与えている。

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第二章 教会書>第四節 コリント後書概説 1 終わり、次は第四節 コリント後書概説 2

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