第二章 第三節 コリント前書概説9

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第一 教 会の問 題 (一章十節ー十章) 3

(5) 供物問題 (八章ー十章)1

⁋この部分は

「偶像の供物に就きては我等みな知識あることを知る。知識は人を誇らしめ、愛は徳を建つ」

という言を以て始められている。即ち此処には「偶像への供物献納」の問題を採り上げて、キリスト者のもつべき次の二つの実践的原理を教えている。第一は・神の知恵は人に行動の全き「自由」を与えるということであり、他は・基督者の自由は然し「自己限定の自由」であるということである。
⁋本書はその冒頭の党争問題の項において、神の知恵とこの世の知恵との質的対立性を我べた が、この部分では第一に、神の知恵こそ人に「自由」を与える唯一のものである事を告げる。 キリスト者の自由はキリストに由て全く束縛される所にのみあると記したが、此のキリストこ そ「神の智知恵」であるが故に、神の知恵なるキリストに束縛されることこそ、人に全き自由を与えるという結論になる。この部分には

「偶像への供物に就きては、我等みな知識あることを知る」

とある。この知識とは

「偶像の供物を食うことに就きては、我ら偶像の世になき者なるを知り、また唯一の神の外に神なきを知る」

知識であり、従って偶像の供物に関してキリスト者はこの知識の故に何ら束縛はない。真の知識は自由を与えるからである。即ちキリスト者は

「我らを神の前に立たしむるものは食物にあらず。 されば食するも益なく、食せざるも損なし」

といい得る自由な立場に立つ者である(八章八節)。

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第二章 教会書>第三節 コリント前書概説09 終わり、次は第三節 コリント前書概説10

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