第二章 第三節 コリント前書概説8

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第二章 教会書>第三節 コリント前書概説

第一 教 会の問 題 (一章十節ー十章) 3

(3)訴訟問題 (六章一節―十一節)

⁋この部分はコリント教会の信者の中に

「兄弟は兄弟を、しかも不信者の前に訴うる」

という事があったのに対して、それを戒めている。即ちパウロは

「汝等のうち互に事あるとき、これを聖徒の前に訴えずして、正しからぬ者の前に訴ることを敢えてする者あらんや、汝ら知らぬか、徒聖は世を審くべき者なるを」

と云い(一節―二節)、「互に相訴うるは既にまさしく汝らの失態なり」という裁断を下している(六節)。

(4) 結婚問題 (七章) 

⁋以上の項目においては、その強調点は専ら教会と世との質的対立性を注視せしむるにあったが、この部分からは、むしろ律法を超えたキリスト者の自由に対してコリント教会の眼を開かんとしている。即ちこの部分は

「汝らが我に書きおくりし事に就きては、男の女に触れぬを善しとす。然れど淫行を免れんために、男はおのおの其の妻をもち、女はおのおの其の夫を有つべし」

と云う言を以て始められ、婚姻に関する具体的の指示を与えているが、そこに支配的なのは、個性的差異の尊重という事である。即ち細かい心使いの指示を与えながらも、極力パウロが避けんとしているのは「律法的規格性」ということである。それは特に

「わが欲する所は、すべての人の我が如くならん事なり。然れど神より各自おのが賜物を受く、此は此のごとく、彼は彼のごとし」

という言に明示されている(七章七節)。また

「唯おのおの主の分ち賜うところ、神の召し給うところに循いて歩むべし」

と述べ(同十七節)、 前述せられた教会の首なるキリストに帰一するということは、断じて規格的に誰も同じく一色的になるということではなく、帰一した方は絶対的に個性的であるべきことを教えている。要は「価をもてキリストに買われた者」として、人の奴隷とならず、キリスト以外のものに束縛されざることであるという。キリスト者の自由は、キリストの奴隷となるが故に、その他の如何なるものに依ても絶対に束縛されないという自由だからである。

ーーーー

第二章 教会書>第三節 コリント前書概説08 終わり、次は第三節 コリント前書概説09

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説第二章 教会書第三節 コリント前書概説

 
 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう