第二章 第三節 コリント前書概説4

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⁋述上の事情の処理を機会として、パウロはコリント教会の内外の諸問題に対する具体的批判と処置とを述べつつ、復活のキリストを頂点とする教会の原秩序を指示して、教会形成の自覚と反省とを促している。教会がこの世に置かれながら、この世のものでなく、この世に対して異質的な存在であるといわれるのは、教会が復活のキリストを頂点とする秩序態だからである。この教会の特殊な秩序態の自覚が欠ける時、教会の世俗化が結果する。処がこの世の知恵はこの教会の異質的な秩序感をにぶらせる力として不断に働きかける。従って神の知恵である教会の秩序感に徹することが・教会形成の絶対的条件であると本書は主張する。

⁋本書は次の如き区分からなっている。
挨 拶 (一章一節ー九節)
第一 教会の問題 (一章十節—十章)
(1) 党争問題 (一章九節—四章二十節)
(2) 淫行問題 (五章)
(3) 訴訟問題 (六章一節―ー十一節)
(4) 結婚問題 (七章)
(5) 供物問題 (八章ー十章)
第二 教会の秩序 (十一章ー十五章)
(1) 集会の秩序 (十一章)
(2) 賜物の秩序 (十二章ー十四章)
(a)賜物の多様性 (十二章)
(b)愛の優越性 (十三章)
(c)賜物の建徳性 (十四章)
(3) 復活の秩序 (十五章)
結 尾(十六章)

⁋冒頭の挨拶において注目に価するのは、極めて世俗化せるコリント教会の実情に通じている 差出し人パウロが、コリント教会に対して「ただに我等のみならず彼らの主なるイエス・キリストの名を呼び求むる者とともに聖徒となるべき召を蒙り、キリスト・イエスに在りて深められたる汝らに贈る」と呼びかけている点である。吾人はここに教会という存在の逆説的なる本質が指摘されているのを見出す。即ち教会はその見ゆる現実の汚れと不完全と「にも拘らず」、 神の前には潔く瑕(きず)なきものと認められた存在なのである。即ち

「斯(か)く汝らは凡ての賜物に欠くる所なくして我らの主イエス・キリストの現われ給うを待てり。彼は汝らを終りまで堅うして我らの主イエス・キリストの日に責むべき所なからしめ給わん」

という、絶対的確信と信頼とにおいて、以下の書簡の内容が綴られている事を、先ず読者は銘記しなければならない。

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