第二章 第三節 コリント前書概説 1

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⁋コリント前書は使徒パウロが、コリント教会の問題紛糾せる近況を聞き、これを憂え、キリストの教会の「拠て立つ秩序」の何たるかを示さんが為に、記した書簡である。使徒行伝によると、パウロはアテネ伝道の後コリントに来た(十八章一節以下)。この都で彼は、後に

「わが生命のために己の首(くび)をも惜しま」

なかったと記している程(ロマ書十六章三ー四節)、 彼の強力なる助け手となったユダヤ人夫婦アクラとブリスカとに会った。彼はここに一ヶ年六ヶ月留って伝道した。後に教会の有力なる指導者となったアポロが、初めて「主の道を詳細に教えられ」たのは、この地においてこのアクラとプリスカによってであった(使徒行伝十九章一節以下)。
⁋パウロは「クロエの家の者」——恐らくその家の奴隷から、コリント教会の「中に紛争あることを」聞いたので、前述の目的を以てこの書簡を送ったのであった(本書一章十一節)。然しこの書簡が書かれるに当って尚お他の一つの事情があった。それは彼がこのコリント前書の前に ——現在の新約聖書中にはのこされていない一つの書簡を送って直接に「淫行の問題」に就て書き送ったのであった。彼はこれに就て

「われ前の書にて淫行の者と交るなと書き贈りしは」

と記している(五章九節)。 処が教会の方では、この書簡の意味を誤解したか、またはその意義が理解できなかったかの為に、彼に対して質問の書簡を寄こした。パウロはこれに対して

「汝らが我にさきおくりし事に就きては」

と、その返事と指示とを述べている(七章一節以下)。

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