第二章 第二節 ロマ 書 概 説20

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第二 負債 の 倫 理 (十二章―十五章) 5

(4) キリストに在る祭司性 (十五章十四節―三十三節)

⁋ここにはロマ書の書かれた立場が明示されている。即ちパウロはここで

「わが兄弟よ、われは汝らが自ら善に満ち、もろもろの知識に満ちて、互に訓戒し得ることを確く信ず。然れど我なお汝らに憶い出させん為に、ここかしこ少しく憚(はばか)らずして書きたる所あり」

と記しているが、彼をして憚らずして書かしめたのは、何に帰因しているかが次に注意され、

「これ神の我に賜(たま)いたる恩恵に因る。即ち異邦人のためにキリスト・イエスの仕人(つかえびと)となり、神の福音につきて祭司の職をなす。これ異邦人の聖霊によりて潔められ、御心に適う献げ物とならん為なり」

といわれている(十五章十五節以下)。彼をして憚らずして書かしめたものは、福音につける彼の祭司職の自覚である。故に本書の前半と後半とを連結せしめる

「されば兄弟よ、われ神のもろもろの慈悲によりて汝らに勧む、己が身を神の悦びたもう潔き活ける供物として献げよ、これ霊の祭なり」

という献身の勧告も、キリストに在る祭司的自覚のみが語らしめ得たものである。彼はキリストに在る祭司であるが故に、異邦人凡てをして——汚れたる者といわれる異邦人をも——神の祭壇に献げられたる潔き供物と為し給いし「聖霊」を仰がしめ、神に対する当然の責務を指示する。彼こそは即ちユダヤ人・ギリシヤ人・異邦人の差別なき「上からの連帯性の創始者」なる聖霊に「遡源」せしめ、以てキリストの体なる教会の肢たる責務を「指示」する祭司である。

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第二章 教会書>第二節 ロマ 書 概 説20 終わり、次は第二節 ロマ 書 概 説21

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