第二章 第二節 ロマ 書 概 説06

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第一 福音の論理 (一章十八節—十一章三十六節)2

(2) 福音による対選民的審判 (一章十七節ー三章二十節)

⁋前項においては異邦民族の被造物としての失格が、

「彼ら云い遁(のが) るる術なし」

という強烈な断言を以て宣べられたが、この律法をもたせられた選民に対しては、

「ユダヤ人に何の優るるところありや、有ることなし」

といわれ、更に

「神の名は汝らの故によりて異邦人の中に瀆(けが)さる」

と(二章二十四節)、その選民としての失格が宣言せられている(三章一節)。神は実に御自身義なるが故に、彼には絶対に

「偏り視給うことが無い」。

従って

「凡そ律法なくして罪を犯したる者 (異邦人) は 律法なくして滅びる」

と等しく、

「律法ありて罪を犯したる者 (選民)は律法によりて審か」

れなければならない(二章十一節以下)。選民はその与えられたものの高さに準じてきびしく審かれなければならない。然るに選民の歴史も

「義人なし、一人だになし」

という結論を出し得たのみであった (三章十節以下・詩篇十四篇二ー三節参照)。
⁋然らば選民イスラエルは、 何故に失格したか? それは一言でいえば、 彼らに与えられた 「律法」の意義を誤り理解した為であった。抑(そもそ)も律法とは「審く」ものであって「救う」ものではない。

「それ律法の云うところは、 律法の下にある者に語ると我らは知る。これは凡ての口ふさがり、神の審判に全世界の服せん為なり。律法の行為によりては、一人だに神のまえに義とせられず、律法によりて罪は知らるるなり」

とは(三章十九ー二十節)、この律法の意義を解明した言である。然るに彼らはこの律法の与えられた意義を全く誤解し、

「律法に安んじ、神を誇り、その御意を知り、律法に教えられて善悪を弁え、また律法のうちに知識と真理との式を有てりとして」

これを彼ら自身の誇りの具としたのであった(二章十七—十九節)。実に彼らは、律法とは審くものであって、救うものではなく、罪を示すものであって、これを競うものではなく、「顔面の汚れを指さすもので、 之を洗うものではない」ことを悟らなかったのである。 イスラエルの選民としての失格の原因はこの点に見出される。

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第二章 教会書>第二節 ロマ 書 概 説06 終わり、次は第二節 ロマ 書 概 説07

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