第二章 第二節 ロマ 書 概 説05

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第一 福音の論理 (一章十八節—十一章三十六節) 1

⁋パウロの宣べる福音が対万民的な福音であるのは、

「人の義とせらるるは、 律法の行為によらず、信仰に由る」

からである(三章二十八節)。 然ればこの信仰に由る義認を解明するものは何であろうか? それは「福音の論理」である。故にパウロは本書の前半において、律法の支配に対する恩寵の支配の絶対的優位性を立証せんとしている。それを要約したのが

「律法の来りしは咎の増さんためなり、然れど罪の増すところには恩恵(めぐみ)いや増せり。これ罪の死によりて王たりし如く、恩恵も義によりて王となり、我らの主イエス・キリストに由りて永遠の生命に至らん為なり」

という言である(五章二十ー二十一節)。
⁋この福音の論理は本書においては、(1)福音による対万民的審判、(2)福音による対選民的審判、(3)福音による外律法的義認、(4)福音による対選民的省察・の四項目の展開において 述べられている。

(1)福音による対万民的審判 (一章十八節ー二章十六節)

⁋この部分は

「それ神の怒は不義をもて真理を阻(はば) む人の、 もろもろの不虔と不義とに対して天より顕わる」

という言を以て始められ、世界的失格の第一歩として、異邦人の失格が立証されている。茲では人類一般が対象であるが故に、その失格は宇宙の創造者対被造者の関係で問責がなされている。即ち異邦人は、律法をもつ民なる選民からは区別されて、律法をもたぬ民である。が然し、彼らはその被造者からはいい逃れる術が絶対に無い。何故なら

「神の見るべからざる永遠の能力と神性とは造られたる物により、世の創より悟りえて明かに見るべければ、彼ら言い遁(のが)るる術なし」

だからである(一章二十節)。 彼らには被造者として「良心の律法」が与えられている。被造者でありながらその創造者を創造者として崇めぬということにおいて、彼らは神の真を蹂躙したのであり、等しく神の審きに服すべき者として自らを立証してきたという。 この部分の語調は「彼ら云ひ遁 (のが) るる術 (すべ) なし」 という鋭い弾劾に依て代表されている。

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