第二章 第一節 使徒行伝概説 33

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第三 異邦人・キリスト教会の発展 (十三章ー十八章)6

(1) 教会宣教の対異邦人的転向 (十三章ー二十二章二十九節)6

⁋さてパウロの伝道旅行を通じて注目に価することは、先ず第一に・彼は異邦人宣教の器ではあったが、最初から異邦人のみに集中せず、何処に行くも先ず第一にユダヤ人に向って福音を宣べ、しかして後に異邦人に向ったという観方である。これはパウロがロマ書に「ユダヤ人を初め」といっている処で、彼は宣教に当り、常にこの事を考えていた。しかして使徒行伝は

「安息日に町の門を出でて祈場あらんと思わるる河のほとりに往き、そこに坐して集れる女たちに語りたれば」(十六章十三節)

と記し、彼が如何に忠実に「先ず」ユダヤ人を求め、ユダヤ人の会堂のない処では、いかに祈場を迄尋ねていたかという事に注目せしめている。第二に・彼はユダヤ人の会堂に先ず入ったと同じく、ユダヤ人がそれに由て育くまれてきた

「聖書に基いて論じ、かつ解き明し」

たということである (十七章一節以下・十八章二十八節等)。第三に・彼の伝道も同労者との全き一致において行われたのではなかったという事である。即ち彼の先輩であり 彼を活動の舞台に紹介したバルナバと彼との間に、その伴うべきマルコに関して大論争が起った事が記されている (十五章三十七節以下)。即ちここにも指導者の間の意見の相異の問題がある。 宣教に関する神の聖旨が何処にあるかという事は必ずしも直ちに解るものではないし、又意見の差異なくしてわかるものでもない。曾(かって)て無能なりとして若きマルコを棄てたパウロが、後にこのマルコを推奨し、

「汝マルコを連れて共に来れ、彼は職のために我に益あればなり」

と記すようになっている事もみのがしてはならない(テモテ後書四章十一節)。

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