第二章 第一節 使徒行伝概説 30

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第三 異邦人・キリスト教会の発展 (十三章ー十八章)3

(1) 教会宣教の対異邦人的転向 (十三章ー二十二章二十九節)3

⁋先ずこの部分は、アンテオケ教会で聖霊が

「我が名して行わせんとする業の為にバルナバとサウロとを選び別て」

と語り給うた叙述を以て始まり、バルナバとパウロのクプロ及びアジアの中央、南部を始とする宣教旅行が辿られ、斯くしてパウロは三回宣教旅行に出た事が叙べられている。ビシデヤのアンテオケ(スリアのアンテオケに非ず)にてパウロはキリストの復活証言の説教を為したが、これに対するユダヤ人の示した反応と、異邦人の示した対蹠的な反応とを対照している。即ちユダヤ人等はパウロに群がってくる群衆をみて、彼に対する嫉みに満たされ、パウロの語る言にいい逆い之を罵しった。これに対してパウロとバルナバの語った言は

「神の言を先ず汝らに語るべかりしを、汝等これを斥(しりぞ)けて己を永遠の生命に相応しからぬ者と自ら定むるによりて、視よ、我ら転じて異邦人に向わん。それ主は斯く我らに命じ給えり。曰く、われ汝を立てて異邦人の光とせり。地の極にまで救とならしめん為なり」

と記されている(十三章四十六節以下)。これは宣教の方向が、「下からの反応」と「上からの命令」と相呼応して、今や、ユダヤ人から異邦人に向って転向すべき危機を示していた。他方、バルナバとパウロの宣教の言をきいた異邦人は、大いに

「喜び、主の言をあがめ、又とこしえの生命に定められたる者はみな信じ」

たと叙べられている。前述せし如く、これらの言において本書の一つの目的が果されている事を注意すべきである。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 30 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 31

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