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第二 ユダヤ・キリスト教会の形成 (三章ー十二章)3
(1) 建てられたる教会(三章一八章三節) 3
⁋かかる時この跋者(あしなえ)なる「世」の前に現われたのが、教会の代表者たるペテロとヨハネとであった。この二人は彼に対して三つのことをした。先ず第一に彼らは彼に向って、「我らを見よ」 と云った。即ち茲に教会の宣教の力がみられる。 教会は先ず「世」に対して、「我らを見よ」 といって、世をして自己を注視させる能力ある呼びかけをしなければならない。ただ「世」から問い詰められて、それに如何に答うべきかに迷い、周章(しゅうしょう)狼敗していては、この能力ある呼びかけはできない。 次に教会は、この呼びかけに由て自己を注視した跛者に対して、「金銀は我になし」といった。即ち跛者が直接に求めている一食一食の糧を与えることはできない、という宣言である。ここで当然この跛者は、それでは教会は自分に何をくれるのであろうか、と問いかけるであろう。 これに対して彼に対して教会が為し得た第三のことが記されている。即ち
「然(さ)れど、我に有るものを汝に与う、ナザレのイエス・キリストの名によりて歩め」
といいつつ、ペテロは彼の
「右の手を執りて起ししに………躍り立ち、歩み出」
させた。これこそ実にこの跛者が生れてから考えたこともなかった奇跡そのことであった。
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