第二章 第一節 使徒行伝概説 16

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第二 ユダヤ・キリスト教会の形成 (三章ー十二章)1

⁋この部分には聖霊に満たされた教会が、聖霊に逆らう「曲れる代(よ)」との相剋において示されている。これは構造的に大観すると二分され、前者は「建てられたる教会」として(三章八章三節)、
⁋後者は「散らされたる教会」としてみることができる (八章四節ー十二章)。
(1) 建てられたる教会(三章一八章三節) 1
⁋この部分は更に細かくみると次の如き順序で記されている。

一 神殿の門の奇跡(三章一節ー十一節)
二 ペテロの説教(三章十二節ー二十六節)
三 ペテロ・ヨハネの捕縛(四章一節ー二十二節)
四 教会の讃美と禱告(四章二十三節—三十一節)
五 新しき教会の現実(四章三十二節ー五章十六節)
六 使徒等の捕縛と審判(五章十七節ー四十二節)
七 七人の選択(六章一節ー七節)
八 ステパノの証言(六章八節ー十五節)
九 ステパノの弁論と殉教(七章一節一八章三節)

⁋以上の構造に即してその歴史的展開をみると、この部分は「教会に対する代(よ)の反抗」を示している。次にこれを辿ることとする。先ず神殿の門の奇跡においては、生れながらの跛者 (はしゃ・あしなえ)がペテロ・ヨハネに施済(ほどこし)を乞うた時、

「金銀は我になし、然れど我に有るものを汝に与う、ナザレのイエス・キリストの名によりて歩め」

という、彼らの言によって起った奇跡的治癒が記されている(三章一節以下)。この教会の奇跡に基いてなされたペテロの説教の中心は、

「イエスによる信仰は汝等もろもろの前にて斯る全癒(ぜんゆ)を得させたり。兄弟よ、われ知る、汝らがかの事(イエスを十字架につけた事)を為ししは知らぬによりてなり………然れば汝ら罪を消されん為に悔改めて心を転ぜよ」

という点であった(三章十一節以下)。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 16 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 17

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