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第一 教会の起源 (一章三節―二章四十七節)4
(2)教会時代の創始(二章)2
⁋第二に・教会は絶対的に「天より」の創設であったということである。それは従って創世記が記している如きバベルの塔と正反対の性格を示すものである。即ちバベルの塔は「神の如くならんとする」人間の「下から」神に到達せんとした事の象徴であり、それは神の証の対象であった。この神の証の結果、人間の言語が混乱させられて、万民の相互理解が失われた(創世記十一章一節以下)。
「この故にその名はバベル(淆乱”こうらん”―みだれ)と呼ばる、是はエホバ彼処に全地の言語を淆(みだ)したまいしに由りてなり」
と記されている。聖霊降臨とは正に「神の如くならん」とする「下からの到達」に逆対応する「上からの創設」であり、従って相互理解の喪失に対する、その「上から」の医癒であり、この相互理解の回復である。「彼らみな聖霊にて満たされ」、その結果は
「御霊の宜べしむるままに異邦の言にて語りはじ」
めたのが、このペンテコステの出来事である。
「視よ、この語る者は皆ガリラヤ人ならずや、如何にして我等おのおのの生れし国の言をきくか」
とみなおどろき惑って、互に「これ何事ぞ」と怪しんだ(二章七節以下)。かく古き時代の相互理解の喪失に対する、新しき「聖霊なる神の時代」における全き治癒が茲に与えられたことを指示している。聖霊に由る言語のみは万民に理解され、相異る国語を用いて相互理解不可能だった個人個人にも、それが理解されたというのである。
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