第二章 第一節 使徒行伝概説 11

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第一 教会の起源 (一章三節―二章四十七節) 3

(2) 教会時代の創始 (二章)1

⁋この部分は

「五旬節の日となり、彼らみな一処に集い居りしに 烈しき風の吹ききたるごとき響、にわかに天より起りて、その坐する所の家に満ち、また火の如きもの舌のように現われ、分れて各人のうえに止まる。彼らみな聖霊にて満され、御霊の宣べしむるままに異邦の言にて語りはじむ」

という出来事の記録を以て始められている。是が昇天前のキリストに由て予告せられた教会の創設であり、教会時代の創始である(二章一節以下)。 ここには次の諸点がいわれている。
⁋第一に・教会は絶対的に「新しい」創設であったということである。既述した如く福音書はその殆んど凡てが、神の国及びキリストの死の理解に対する無知をあばき出していた。ルカ伝及びヨハネ伝は特に明瞭にこの事を語っている。即ちヨハネ伝に先き立つルカ伝は、一方主がその弟子の群に向って

「懼(おそ)れるな小さき群よ、なんじらに御国を賜うことは汝らの父の御意なり」

といい給うて、彼らが神の国の継承者となるべき者である事を暗示しているが、同時に聖霊の降る前の彼らは如何に悟りなきものであったかを反復して示している。否・彼らが悟りなき者であったということは、ルカ伝の概観で前述せし如く、神的理由に遡るものとして観られてい る。即ちルカ伝には「弟子たちこれ等のことを、一つだに悟らず、この言かれらに隠れたれば そのいい給いしことを知らざりき」という解説が附されている(十八章三十四節)。即ちそれは神の前知の中にあったことであり、聖霊が降って教会が創設される時に至るまで、真のキリスト理解を与え給うべきではなかったというのである。従ってこの聖霊を受けた群は、聖霊の働きに 由て、正しきキリスト理解を許されたという意味において全く新しい群であった。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 11 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 12

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