第二章 第一節 使徒行伝概説 10

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第一教会の起源 (一章三節―二章四十七節) 2

(1) 教会時代の指示 (一章)2

⁋次に弟子たちが集まっていた時

「主よ・イスラエルの国を回復し給うはこの時なるか」

と問うた事を記しているが、ここに意味されているイスラエルの回復の概念は、その国家的独立を失っているイスラエルの、政治的独立を待ち望む民族的欲求と期待との反映である。イエスの死後その二人の弟子がエマオ途上で復活の主とは知らずに語った、

「我らはイスラエルを贖うべき者は、この人なりと望みいたり」

という言にも、この気持が反映されていた(ルカ伝二十四章二十一節)。選民としてのイスラエルの回復という事は、聖書においては脈々確認せられている事柄である。ロマ書などはこれに対して

「斯くしてイスラエルは悉く救われん」

と明瞭に語っている (十一章二十六節)。
⁋従って弟子らの「主よ、イスラエルの国を回復し給うはこの時なるか」との問に対して、本書もまたイエスが否定的な答を為し給わなかったことを示している。即ち

「時また期は父おのれの権威のうちに置き給えば、汝らの知るべきにあらず」

というのが、この問に対する主の答であり(一章七節)、それは父の許し給う何時の日かイスラエルの地上的回復があることを肯定していることを示すものである。然し同時にそのイスラエルの地上的回復の前に先き立って、新たな時代即ち聖霊時代または教会時代が突如始めらるべきことを告げ給うたのである。即ち

「然れど聖霊なんじらの上に臨むとき、汝ら能力をうけん、しかしてエルサレム・ユダヤ全国・サマリヤ・及び地の極にまで我が証人とならん」

と命じ給うて後弟子らの眼前にて昇天し給うた。 彼らが地の極までキリストの証人となるという新しき時代こそ、聖霊に由るキリスト証言の時代または教会の時代なのである。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 10 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 11

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