第二章 第一節 使徒行伝概説 6

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⁋第六に・本書において教会はパレスチナの都エルサレムに始まり、遂に帝国の中心ロマに発展したという・一つの世界宣教の目標と計画に向って一歩一歩進ませられたものとせられている(一章八節・二十二章二十一節・二十三章十一節)。しかして 正典の中で本書に続くロマ書の意義が予告せられるように、本書が配列されている事がわかる。
⁋第七に・聖霊に由て上から創設されたものであるにも拘らず、地上的教会は絶対的に完全にして罪なきものとはなり得ず、常にその中に幾多の罪悪と誤謬と迷蒙とを含んでいるものとみられている。然しその不完全の中に聖霊は働き、特殊の人と群とにその聖きを成就せしめ給いつつ、その教会形成の業を進行せしめ給うものと観られている。
⁋第八に・本書全巻を貫いて、教会史観の最高峰をなすとみられるのは、神は人間の罪悪と誤謬とを変容し、人間の悪意をもこれをこの聖旨遂行の方向に転用して、教会をしてその聖旨を具現せしめ給うものとみられていることである。前述のように本書中に記されている迫害は、ユダヤ人のそれと云わず、異邦人のそれと云わず、何れも教会を進展せしめる媒介的刺戟として観られている。その初期において指導者に加えられた迫害は「五千人」を悔改せしめる刺戟となり(四章四節)、また迫害者をして「云い消す辞(やめ)な」からしめている (同十四節)。殊にステパノの殉教を結果せしめた大迫害が、使徒パウロを起す機縁となったこと (八ー九章)及びエルサレムにおけるパウロ迫害が、彼を送ってロマに到らしめる契機となったことなどは (二十一章二十七節以下) その適例である。

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第二章 教会書>第一節 使徒行伝概説 6 終わり、次は第一節 使徒行伝概説 7

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