第一章 第二節 マルコ伝概説11

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第二 権能者イエスの制約 (六章一節ー八章二十六節)3

⁋このマルコ伝の言には明かに矛盾ではあるが、権能者における「制約」が述べられている。 然しこの言においてこそ人間をあくまで人間として、その自由意志をあくまでも自由意志として取り扱い、これを機械化し給わぬ神の世界の約束がいい表わされているのである。全能なる 神と雖も、人間が意図的に且つかたくなにその心を閉す時、その権能を働かせ給わないという ――出埃及の時におけるエジプトのパロまたはイスカリオテのユダの場合の如く――人格的処理の世界における制約である(ロマ書九章十七ー十八節・使徒行伝一章十六節以下)。
⁋然しこれは更に次の事態の暴露となる。これは権能者イエスが、外から人間を束縛し、且つ歪(ゆがめ)める者を除き給うても、なおそこに権能者の働きかけを阻止し、制約するものが残っているということである。それは神の国の来臨を「はばむもの」としての人間の衷なる「我執」そのものである。

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第一章福音書>第二節 マルコ伝概説11終わり、次は第二節 マルコ伝概説12

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