第一章 第二節 マルコ伝概説3

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⁋第二の点は・イエスの権能者たる性格の解明において現われている。即ち本書はイエス・キリストなる神の子が、何故「権能者という性格において来り給うたか」ということに対して 次の如く答える。マタイ伝は旧約に遡り、律法を成就し、選民の歴史を辿り、その失敗の歴史を踏み直す者こそ、イスラエルのメシヤなりと告げるが、マルコ伝は、救は人類の「過去的誤謬」の踏み直しによらない。むしろその「現在的束縛」からの解放でなければならないと告げる。故に神の子イエスは、神の権能において、その奇跡の能力に由って、人間を現在の凡ゆる反神国的束縛から解放する者でなければならない。斯くして、神の国の来臨をはばむ、凡ゆる物を除去し給うことに由って、救をもたらす者であるというのである。従って神の子の「能力」と は、この解放に現われた能力を指すものとしている。
⁋この意味において、本書には旧約聖書からの言の引用が非常に少く、僅かに一、二回に限られ ( 一章三節、七章六節)、その点でもマタイ伝との著しい差異が示されているのである。

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第一章福音書>第二節 マルコ伝概説3終わり、次は第二節 マルコ伝概説4

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