第一章 第二節 マルコ伝概説1

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第一章福音書>第二節 マルコ伝概説

⁋マルコ伝が語らんとするのは、神の国来臨という接迫感の只中に立つ「権能者」である。 この神の国来臨は、当然それが接迫しているということの故に、その接迫を妨がんとする悪霊の反抗を刺激し且つ強化する故に、両者の争闘は、更にこの「権能者」としてのイエスの 姿の描写を躍如たらしめている。従ってイエスのこの「権能(ちから)」は、主として神の国を迎すべき人間を束縛している悪霊に対して顕われ、その束縛のうちに在る人間の直接的解放に向けられている。従ってマルコ伝においては、この人間解放の場面が、——人間を「個人」として、「人格」として、且つ決断の「主体」として解放する場面が、特に行き活きと描写せられている。しかして本書においては全体として行動的または直接的ともいうべき出来事のはげしさが支配していることが気ずかれる。これはヨハネ伝が象徴的な静けさに満たされているのと、対照的な印象を読者に与える。
⁋マルコ伝は種々の点において他の共観福音書とは異っているが、次にそれらの差異点をあげることに由て、本書の特徴をみることとしよう。

ーーーー

第一章福音書>第二節 マルコ伝概説1終わり、次は第二節 マルコ伝概説2

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第一章福音書>第二節 マルコ伝概説

 
 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう