第一章 第一節 マタイ伝概説21

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第一章福音書>第一節 マタイ伝概説

第五 メシヤの成就する過越 (二十六章ー二十八章) 2

⁋本書の記すメシヤの受難は、凡てイザヤ書が指摘した「遺残者」(理想的イスラエル)の苦難の僕としての姿の一切が、過越しの羔羊なるメシヤにおいて成就を見た事の証言である。
⁋即ちここには祭司長・学者・民の長老及び群衆の唾と罵倒によるメシヤの嘲弄、しかして人の子イエスの苦難・忍従・沈黙の預言が(イザヤ書四十章一ー四節・四十九章一六節・五十章四十九節・五十章十五節—五十三章十二節)余す処なく実現された事を描写している。
⁋斯くしてイエスの昇天に際して、弟子らに語り給いし命令は(二十八章十六節—廿節)、マタイ伝特有のものであるが、この命令の終の句は、本書がそのイエス誕生の記事に記した「イマヌエル」(即ち神我らと偕に在す) というイエスの名の具現である(一章三十三節)。昔神が選民イスラエ ルに対して与え給いし約束の最高峰であり――然も旧約の中心となる言は

「彼等わがために聖き所を作るべし、我かれらの中に住まん」

という約束であった(出埃及記二十五章八節)。 この選民に対する最高の約束が、今や、マタイ伝の証しする「宮よりも大いなる者」なる旧約の成就者メシヤにおいて、対選民的事実としてのみならず、対万民的事実として成就具現を視る事となるのである。
マタイ傳概説終わり、

ーーーー

第一章福音書>第一節 マタイ伝概説21終わり、次は第二節 マルコ伝概説1

ホーム渡辺・岡村著書新約聖書各巻概説>第一章福音書>第一節 マタイ伝概説

 

コメントを残す

WordPress.com で次のようなサイトをデザイン
始めてみよう