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第三 メシヤの暴露する偽善 (八章ー二十三章)5
⁋先ず第二十章の葡萄園の喩えは、マタイ伝のみに記されているものである事が注意されなければならない。葡萄園の園主が、その労働者を雇って早くから働いた者にも、後から来て僅か働いた者に区別なく、一デナリ(八人家族一日分のパン代)の賃金を支払った。これに対して朝早くから働いた先の者が不平をあらわした。それに対して園主は
「友よ、我なんじに不正をなさず汝は我とデナリの約束をせしにあらずや。己が物を取りて往け、この後の者に汝とひとしく与うるは、我が意なり。わが物を我が意のままに為るは可からずや、我よきが故に汝の日あしきか」
といったという喩えであるが、この喩えにおいては、選民イスラエルのその経済原則として与えられた律法が、園主の言を裏づけている事が見られる。
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第一章福音書>第一節 マタイ伝概説終16わり、次は第一節 マタイ伝概説終17
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