第一章 第一節 マタイ伝概説4

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⁋然しイスラエルが選民として失格したにも拘らず、万民の救拯という神の目的は、イスラエルに語られた約束を外にしては果たされない。それ故本書に描かれたイエスは、その選民の失敗を償い、その歴史を回復し、斯くしてこれに対する約束を果すことに由り、万民の救拯を完うする者として顕れている。この主張をもつマタイ伝が、新約書の冒頭におかれた事によって 旧約と新約との必然的連関が明かにされるし、同時に世界救拯という神よりの使命達成において、肉なるイスラエルの占める位置と意義とが、新たに確認を与えられるといえる。即ちこの書の理解に当っては、ロマ書の「兄弟よ、われ汝らが自己を聡(さと)しとすることなからん為にこの奥義を知らざるを欲せず、即ち幾許(いくばく)のイスラエルの鈍(にぶ)くなれるは、異邦人の入り来りて数満(かづみ)つるに及ぶ時までなり、斯くしてイスラエル(肉なる民族的)は 悉(あまね)く救われん……それ神の賜物と召とは変ることなし」という言を銘記しなければならない (十一章廿五節以下) 。

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