第一節 ヨハネ黙示録概説 1

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⁋黙示録の目的は著者「ヨハネ」が

「見し事と・今ある事と・後に成らんとする事」

とを記すべく命じられて書いたところにある(一章十九節)。然しこの過去現在未来に亘る事の記録において、特に重要な事は

「かならず速かに起るべきこと」

であり、本書の未来というのは「速かに」起るという意味の「未来」のことであるという点である。
⁋本来書簡の多くのものは使徒によって書かれたとはいえ、その使徒と特定の教会との関係を反映する、いわば私的性格をもっていたものであり、そうでなくてもロマ書の如き半ば公的のものといえるものはあっても、最初から全面的に公的性格をもったものは殆んどみられない。 処がヨハネ黙示録は

「この預言の言を読む者と・之を聴きてその中に録されたることを守る者等とは幸福なり・時近ければなり」

と記されている処によっても知られるように、本書は最初から公的に朗読され、且つ会衆に聴かれる為に認められたものである(一章三節)。
⁋本書の主題は「屠られたる羔羊キリスト」に由る宇宙的終末の開示である。本書は聖書正典の最後におかれた聖書全体の結論であり、「創世記」に対しては、之に対応する「終末記」をなす。更に新約書の区分からいえば、第三区分をなし、第一区分が全体として「神の国」をその主題し、第二区分が「教会」を主題とするのに対して、第三区分なる黙示録は、神の国と教会との終末的結びつきを指し示すということが出来る。これはその意味において、前述した如く、ヨハネ福音書が語った「神の国と教会との始源的結びつき」に対応するものとして視られる(本書ヨハネ伝の項参照)。

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第三章 預言書>第一節 ヨハネ黙示録概説1終わり、次は第一節 ヨハネ黙示録概説2

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