第二章 第六節 エペソ書概説10

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第一 充す教会の選み (一章―二章)6

(3)教会の選みの具現 (一章十五節ー二章) 2

⁋第二章には、教会の選の「個人的具現」と「民族的具現」が述べられている。先ず第一の個人的具現というのは、神はその咎と罪とによりて死せる者、この世の慣習に従い、空中の権をもつ悪の支配者、不従順の子等を司る霊の支配者の下にあった個人をも、キリスト・イエスに 由りて教会の肢として共に活かし、天の処に坐せしめ給うたという事である(二章一節以下)。充す教会の業は先ず斯くの如く、個人を死から生に転換せしめるそれである。これが教会に由る虚無の痊しの一つの具体的顕われである。
⁋第二の民族的具現とは、選民と異邦人という人類の二大分裂をいやすものが教会であるからである。即ち教会とは、キリストにおける万物帰一の場であり、従ってそこにおいてのみ旧約を貫いて来た選民と異邦人との隔ての中籬(なかがき)が毀(こぼれ)たれる。それは

「彼は我らの平和にして己が肉により、様々の規(のり・きまり)より成る律法を廃して二つのものを一つとなし、怨(うらみ)なる隔ての中籬を毀ち給えり。これは二つのものを己れにおいて一つの新しき人に造りて平和をなし、十字架によりて怨を滅ぼし、またこれによりて二つのものを一つの体となして神と和(なご)がしめん為なり」

といわれている(二章十四節以下)。教会とはそこにおいて凡ゆる下からの枠が取り外され、 選民たると異邦人たるとを問わず、ギリシャ人と夷人(えびす) たるとを問わず、凡ての者がキ リストに在りて一体とされ、人間の手に由て造られた分裂がいやされ、「キリストに在りて共に建てられ、御霊によりて神の御住(すまい) となる」所である(二章十九節以下)。

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第二章 教会書>第六節 エペソ書概説 10 終わり、次は第六節 エペソ書概説 11

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